S&P 500 PER(株価収益率)の推移

記事更新日: 2025年9月11日 | グラフ更新日: 2025年09月11日

今の米国株は「割高」なのか、それとも「割安」なのか。この永遠の問いに一つの答えを与えてくれるのが、市場の「人気投票」とも言えるPER(株価収益率)です。この指標の歴史を紐解くことで、現在の市場の熱狂度を客観的に測るモノサシを手に入れましょう。

なぜPERが重要なのか?

PERは、株価が1株当たり利益(EPS)の何倍まで買われているかを示す指標です。PERが高いほど、企業の将来の成長に対する市場の期待が高い(人気がある)ことを意味し、低いほど期待が低い(人気がない)ことを示します。S&P 500全体のPERを見ることで、市場全体のセンチメントや過熱感を把握することができます。

グラフで読み解く市場の「熱狂」と「冷静」

S&P 500 PER(株価収益率)の推移グラフ

歴史的なPERの動き(長期グラフ)

長期グラフで最も目立つのは、2000年前後のITバブル期に見られる異常なPERの上昇です。この時期、市場は未来の利益を過度に織り込み、株価は実態を遥かに超えて上昇しました。また、2009年のリーマンショック直後にもPERが急騰していますが、これは株価の暴落以上に利益(EPS)が急減したためであり、市場が楽観的だったわけではない点に注意が必要です。

コロナ禍以降のPER(短期グラフ)

短期グラフでは、コロナショック後の金融緩和によってPERが一時的に急上昇し、その後、金利の上昇と共に落ち着いていく様子が分かります。2025年9月時点の現在地は28.91倍。歴史的な平均(15〜20倍程度)と比べるとやや割高な水準ですが、ITバブル期のような異常な過熱感には至っていません。

このデータの応用的な見方

PERは単体で見るだけでなく、長期金利(例えば米国10年債利回り)と比較することで、より深い洞察が得られます。PERの逆数である「株式益利回り」と長期金利の差(イールドスプレッド)を見ることで、債券と比較して株式にどれだけの投資妙味があるのかを判断できます。金利が高い局面では、投資家はリスクの高い株式よりも安全な債券を好むため、PERは低下しやすい傾向にあります。

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