米国のコアCPIと政策金利の推移

記事更新日: 2025年9月11日 | グラフ更新日: 2025年09月11日

FRBがインフレという怪物と戦うための最大の武器、それが「政策金利」です。そして、その戦況を占う上で最も重要な「戦況報告書」が、物価の動向を示すコアCPI。この2つの関係を理解することは、金融ニュースの裏側を読むことに他なりません。

なぜこの2つの関係が重要なのか?

FRBは、物価の番人です。コアCPI(物価上昇率)が高くなりすぎると、FRBは政策金利(FF金利)を引き上げて市場のお金の流れを抑制し、経済を冷やそうとします。逆に、物価が落ち着き、景気が後退しそうになると、金利を引き下げて経済を刺激します。このシーソーゲームが、経済全体の大きな流れを作り出しているのです。

グラフで読み解く「インフレとの闘い」

米国のコアCPIと政策金利の推移グラフ

歴史的な利上げ・利下げサイクル(長期グラフ)

長期グラフは、FRBがこれまで幾度となく繰り返してきたインフレとの闘いの歴史を示しています。物価(オレンジの線)が上昇すると、それを追いかけるように金利(赤い線)が引き上げられ、物価が落ち着くと金利も引き下げられる、というパターンが見て取れます。この金利の波が、好景気と不景気のサイクルを生み出してきました。

コロナ禍以降の緊急対応(短期グラフ)

短期グラフに切り替えると、コロナ禍でFRBがいかに迅速かつ大規模な金融政策を行ったかが分かります。2022年にコアCPIがピークの6.63%に達すると、FRBは歴史的なペースで利上げを断行し、政策金利は最大5.33%まで引き上げられました。その結果、2025年7月時点ではコアCPIは3.05%まで低下しましたが、金利は4.33%と依然として高い水準に据え置かれています。

このデータの応用的な見方

このグラフを見る上で最も重要なのは「**時間差(タイムラグ)**」です。FRBが利上げを決定してから、その効果が物価に現れるまでには、通常半年から1年程度の時間がかかると言われています。そのため、投資家は常に「FRBの次の動き」を予測しようとします。物価がFRBの目標(2%)に近づき、低下の勢いが確実になったと市場が判断した時、将来の「利下げ」を織り込み、株価は先に動き出すのです。

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